空洞化と属国化ー日本経済グローバル化の顛末ー坂本雅子より

『インフラ輸出戦略は経済界ーそれも多く見積もって十数社から数十社ていどのい巨大グローバル企業にとっての「成長戦略」であった。そして日本経済界、たとえばその代表的な存在である日本経団連の要求がストレートに反映したものであった。その要求とは、海外のインフラ建設や運営を丸ごと引き受けて利益を得るだけでなく、海外とりわけアジアのインフラ整備によってアジア全体を一元的におおう経済連携協定を締結して、日本企業が日本国内と同様にアジア全体で活動できる条件を整備せよという要求であった。つまり「新成長戦略」、「産業構造ビジョン」の目玉戦略・インフラ輸出戦略は、アジアへの進出と活動を一層拡大しようといするグローバル企業にとっての「成長戦略」そのものであった。一方、国民にとってのインフラ輸出は、それによって国内の生産が増加して国民が潤うどころか、豊かな日本の金融資産や税金まで、湯水のように他国のインフラ・ビジネスに投入し、国民の年金基金や未来も限りない危険に晒す戦略であった。国民の税金を今後どれだけ投入することになるのか、インフラ輸出での事故や損失をどれだけ穴埋めさせられることに」なるのか、予想のつかない危うい戦略であった。その上、アジアのインフラを充実させることで、日本の空洞化が止まり、国内の経済成長につながるのかといえば、それは全く期待できないだけでなく、逆に生産の海外移転をより一層加速させるためだけのものであった。国内生産を放棄しつつあるあるグローバル企業、国民から遊離しつつあるグローバル企業のために、なぜ日本国民は税金や年金基金を他国のインフラ整備に投入し、将来の巨大なリスクまで引き受けて支えなければならないのだろうか・・・。

氏の大作です。一部紹介。P357~P358