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官僚機構というものは、使いようでは国運を救うほどの力量を備えている。

しかし、一歩その使い方を間違えば、自爆・国家消滅するほどの威力を持っている。戦前の特高警察・検察がそうであった。

難産であった「治安維持法」であったが、その対象は「私有財産」と「国体変革」であり、過酷な検挙・取締りとはいえ特高警察・検察にとって使いにくい規範であった。

 

この為に三十年代中・後半、度重なる策動の結果「治安維持法改正」が可決される。思想検察に「支援結社の処罰」「刑事手続きの特例」「保護観察制度」の武器が与えられた。そこで当然大量の検挙・起訴が行われ、森山武市郎(司法省)をして「左翼運動の沈滞・・共産党の自壊没落時代」と言わしめたほどである。

 

『それに伴って「思想犯罪防遏(あつ)特別施設費」がそれまで増額していたものが、1935年には二割の削減となった事、思想検事の実数も減少させられた。(荻野富士夫「思想検事」より)』

つまり、検挙しつくし、検挙数に応じて経費・人員が削減された訳である。

 

そこで、組織的危機感を持った司法・検察は「目的遂行罪」の拡張解釈で社会民主主義コミンテルンとそれに関連する芸術・文化・思想研究その他さまざまな文化運動をも「国体変革結社」に仕立て上げ、取り締まった。それは宗教活動へも広がった。「皇道大本教・新興仏教青年同盟・天理本道・ひとのみち(PL)・根株天理教・天理三輪講・灯台社(エホバの証人)」(前掲書)その他が弾圧された。

 

これにより、大量検挙・起訴となり、折からの日中戦争拡大の中、言論取締り・防諜の確保など思想検事・検察は組織・財政とも強化拡大されていったのである。

 

勿論戦争責任は軍国主義を担う国家官僚・軍部であったことは事実であろう。しかし、官僚機構は事の善悪・価値は判断しない。専ら組織防衛・自己保全が主な関心事となる。

これは歴史の教訓である。無能な政権になれば、この戦前の苦い経験が蘇える。

今がその時期にあるように思える。

安倍政権の暴走を何としてでも食い止めなければならない。