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自民党の憲法96条一項の手続き要件緩和を見るにつけ

 ちょうど人間の体にある免疫を連想させられます。「免疫は人間にとって危険なウィルス・外的を攻撃するなくてはならない有効な手段ですが、花粉・ダニなどのアレルゲンに接し、間違った情報を発信すれば、自らの正常細胞まで攻撃する大変危険なものへと転化する」とされています。私は医学知識は弱いので正確には間違っているのかもしれないが、意図は分かって頂きたいと思います。

多くの憲法学者が改憲論者も含めて、96条改憲手続きによる憲法改正に反対するのは、このことがあるからだと思います。ある学者は「憲法そのものが、富士山のように聳立(しょうりつ)した孤峰型から、屋島のような平らな屋根形をした台地型の、法律と見分けがほとんどつかないレベルまで軟化されてしまうことことを示す」(高見勝利氏)あるいは、『憲法改正手続き規定はいわば湯船の底にある栓のようなものであり、当該手続き規定の改正はその底栓を抜いてしまうのとおなじで、憲法の規範水準はどんどん低下し、法律との差異がほとんど認められなくなってしまうのである。その結果憲法と法律との規範的「距離」はいわば紙一重のものとなり、憲法の最高法規制(98条一項)、違憲立法審査権(81条)もまた空文と化してしまう』(同上)と危機感をあらわにしておられます。

憲法には周知のとおり「硬性憲法」と「軟性憲法」があり、「硬性憲法の軟性憲法への変更、軟性憲法の硬性憲法を、憲法改正規定そのものによって根拠づけることは出来ない」(

清宮四郎『国家作用の理論』)ことは学会のいわば常識と言って良いくらいだと思います。

自民党の「日本国憲法改正草案Q&A」によれば『憲法改正は、国民投票に付して主権者である国民の意思を直接問うわけで〔ある〕からして、国民に提案する前段階の国会での手続きが「余りに厳格」すぎる現行憲法96条一項の発議要件では、「国民が憲法について意思を表明する機会がせばめられ」ており、そのため、「主権者である国民の意思」が憲法に「反映」されないことになっているからだということにある。』としている。いかにも、もっともらしい理屈であるが、上記高見氏の言葉を借りれば『「主権」をふりかざして現行憲法との断絶を図ろうとする、「国民」の名を借りた一種の「クーデター」としか評しようのない、憲法外実力行使に他ならない』とされている。

勿論、狙いは9条改正にあるのだが、別の意味では「憲法全体を破壊」しかねない暴挙といわざるを得ません。

Q&Aの回答者は「硬性憲法と軟性憲法」の違いぐらいは当然わきまえているはずです。

分かっていて、わざともっともらしい理屈をつけ、本来の目的達成を狙っている事はほぼ間違いないでしょう。

免疫が変質して、正常細胞の破壊がおこりかかっています。

何としても、この狙いを多くの国民と共に打ち砕かなければと、ひしひしと感じております。

ご意見・訂正コメントで歓迎します。